OpenAI Operatorがo3モデルに刷新――何がどう賢くなった?
2025年春、OpenAIはブラウザ作業を自動化するAIエージェント「Operator」の中核モデルをo3へアップグレードしました。この記事では、従来モデル(GPT-4oベース)からどこが賢く、安全になったのかを、専門外のビジネスパーソンにもわかりやすく解説します。
1. Operatorとは?──“代わりにクリックしてくれる”AI
Operatorは、OpenAI公式ブログで「Computer-Using Agent」と説明される通り、仮想ブラウザを通じて人間と同じようにクリック・入力・スクロールを行います。フォーム入力、通販サイトでの購入、旅行予約まで幅広くこなせるのが特徴です。
- 自動入力:毎月の経費精算フォームを10秒で完了
- 調査&要約:複数ニュースを巡回し一枚に要約
- 予約代行:レストランや航空券を条件付きで確保
2. o3モデルとは?──“長く深く考える”新エンジン
o3は「Reasoning(推論)特化」モデルとして開発されました。簡単に言えば、
- 複数ステップを頭の中でシミュレーションできる
- 数学・論理問題の正答率が大幅向上した
- 画像・コード実行などマルチツール連携が滑らか
これによりOperatorは「途中で詰まらず完走する」粘り強さを獲得。旅行プラン作成など複雑な指示でも、抜け漏れの少ない結果を返します。
旧モデルとの比較
項目 | 旧モデル | o3モデル |
---|---|---|
難問計算 | 誤答が出やすい | 誤答率▲20% |
長手順タスク | 途中で停止しやすい | 完遂率+15pt |
説明のわかりやすさ | 箇条書き少なめ | 表・リスト多用 |
3. 安全性はどう強化された?
便利になるほどリスクも高まります。o3 Operatorでは多層ガードレールが導入されました。
- 確認ガード:購入確定や送金前に必ず「実行して良い?」と質問
- テイクオーバー:パスワード入力はユーザーに手動委譲
- 自発的拒否:金融振込や大量メール送信など高リスク操作は不実行
- インジェクション耐性:怪しいWeb指示を検知し自動停止
こうした仕組みにより、「誤購入」「情報漏えい」といったトラブルを最小限に抑えます。
4. ブラウザ自動操作デモ──操作の流れを覗いてみる
以下は「ローマで人気の1日ツアーを予約して」という指示を与えた例です。
1. TripAdvisorを開く 2. 「Rome top rated day tour」で検索 3. ★4.5以上をフィルター 4. 日付と人数を入力 5. 「Book Now」前で確認を要求
ユーザーはステップを逐一モニタリングでき、最終確定前にワンクリックで承認/中止を選べます。
5. 開発者向けアップデート
Operatorを業務フローや社内ツールに組み込みたい開発者向けに、以下の変更が公表されています。
- API提供予定:o3ベースのCUAをREST経由で利用可能に(時期未定)
- Confirmボタン:UIに承認ボタンを追加、入力レスポンスが高速化
- Saved Task:定型ワークフローをワンクリック再実行
- 多言語UI:63言語に対応、日本語表示も完備
特にAPI化は、社内ポータルに「ブラウザ代行ボット」を埋め込む大きなチャンスです。
6. 使いこなしのコツ
- 具体的なゴールを伝える:「必要情報は表で」など出力形式も指定
- 段階承認を活用:高リスク操作は分割して依頼すると安全
- 保存タスクで定型化:毎週の報告書作成などはテンプレ化
- 社内ルールと整合:個人情報保護ポリシーに合わせログを定期削除
7. まとめ──“もう一人の自分”が本格始動
o3モデルへの刷新で、Operatorは賢さと安心感を両立した実用フェーズに入りました。まだ研究プレビューという位置付けですが、日常業務の自動化・効率化には十分な戦力です。まずは低リスクなタスクから試し、使い勝手を体感してみてはいかがでしょうか。