【2025年最新版】Google スプレッドシートAI関数入門:自動要約・分類・タグ付けテンプレ
日々の業務で蓄積される問い合わせログ(VOC:Voice of Customer)には、顧客のニーズや課題に関する貴重なヒントが詰まっています。しかし、大量のテキストデータを人手で要約・分類するのは膨大な時間がかかり、見落としや属人化も起こりがちです。そこで登場したのがGoogleスプレッドシートの「AI関数」とIMPORT関数です。2025年にはスプレッドシート上で直接AIを活用できるようになり、問い合わせログの自動要約・分類・タグ付けを“1枚のシート”上で完結させることが可能となりました。
本記事では、初心者の一般サラリーマンの方でも分かるように、Googleスプレッドシート最新AI関数とIMPORT関数を組み合わせて問い合わせログを分析する方法を解説します。専門用語もできるだけかみ砕き、実例テンプレートを交えて紹介します。これを読めば、面倒なVOC分析をスプレッドシート1枚で自動化するヒントが得られるでしょう。
GoogleスプレッドシートのAI関数とは(2025年最新情報)
まずは「AI関数」とは何かを押さえましょう。GoogleスプレッドシートのAI関数は、Googleの生成AIモデル「Gemini」をシートのセルから直接呼び出す新機能です。 [4, 5, 9] 例えばセルに =AI("プロンプト", 参照セル)
のように入力すると、指定したプロンプト(命令文)に従い、AIがテキストの生成や分析を行って結果を返してくれます。 [5, 6] Googleが2025年6月25日に正式発表した最新機能で、これにより従来は別サイトで行っていたAI処理をスプレッドシート上で直接実行できるようになりました。
AI関数で何ができるの? 主な活用例は以下の通りです:
- 文章の自動生成:指定したテーマで文章やSNS投稿文を作成
- テキストの要約:長い文章から要点を抽出し短くまとめる
- 情報の分類:大量の文章データをカテゴリー分けする
- 感情の分析:レビュー等からポジティブ・ネガティブ傾向を判定する
これらの作業をAI関数なら一瞬で完了できます。たとえば「会議の議事録を3つの箇条書きに要約して」と指示すれば、AIが重要ポイントを抽出してくれるのです。同様に「この問い合わせ内容を『技術的』『請求』『一般』のいずれかに分類して」とプロンプトを与えれば、適切なカテゴリを自動で判定します。人手では時間がかかった作業も、AI関数なら入力するだけで素早く標準化された結果が得られるため、分析の効率と再現性が大幅に向上します。
利用開始の手順と注意点
AI関数を使うには現時点(2025年)ではいくつか条件があります。 [11] まずGoogle Workspace Labsへの参加や対応プランの確認が必要です。 [10, 11] 個人利用の場合はWorkspace Labsに登録すれば無料アカウントでも試用可能ですが、企業アカウントでは管理者がAI機能を有効化していること、さらにBusiness Standard以上のプランであることが求められます。またGoogleアカウントの言語設定を英語に変更し、Labs参加後にシート上部のAI(Gemini)ボタンが表示されるようにする必要があります。これはAI関数がまだ多言語対応途上で、英語のプロンプトが最も安定動作するためです。2025年7月時点で日本語の直接サポートはなく、プロンプトは英語で書くことが推奨されています。
日本語の問い合わせ文を扱いたい場合でも、プロンプト自体は英語で記述しましょう。例えば日本語のテキストA2を要約するには、=AI("Summarize this text in Japanese.", A2)
のように書きます(「in Japanese」を付けると日本語での出力を指示できます)。現状AI関数は日本語プロンプト非対応ですが、日本語テキストの分析自体は可能であり、工夫すれば日本語での結果も得られます。
最後に、AI関数は手動で結果を生成・更新する点にも注意が必要です。 [6] 通常の関数のように自動再計算されず、対象セルを選んで「Generate and Insert(生成して挿入)」ボタンを押すことで初めて結果が表示されます。 [6] 元の参照データが変わっても自動では出力が更新されないため、変更時には「更新して挿入」を押して再生成する必要があります。リアルタイムにデータが変化するケースにはやや不向きですが、裏を返せば確定した静的な結果を保持できるとも言えます。これらのポイントを押さえつつ、次章から具体的な使い方を見ていきましょう。
IMPORT関数の基本:外部データの取り込み方
次に、AI分析の元となるデータをスプレッドシートに取り込む方法を確認します。Googleスプレッドシートには外部のデータソースを自動で読み込めるIMPORT系関数が用意されています。 [12] これらを活用することで、日々更新される外部データをシートにリアルタイム反映し、分析の手間を削減できます。主要なIMPORT関数とその用途は以下のとおりです:
- IMPORTRANGE関数:別のGoogleスプレッドシートから指定範囲のデータを読み込みます。 [3, 8] Excelにはないスプレッドシート独自の関数で、元ファイルが更新されると自動的に追従して最新データを表示できます。 [17] 構文は
=IMPORTRANGE("スプレッドシートURL", "シート名!範囲")
です。 [15, 17] 社内でフォーム回答が別シートに蓄積されている場合などに、そのデータを「生きたコピペ」のように取得できます。※使用には参照元シートへの閲覧権限が必要です。 [17] - IMPORTHTML関数:ウェブページ上のテーブルやリストを取り込みます。例えば公開された統計や製品ランキングの表を指定すれば、その部分だけをシートに抽出可能です。構文は
=IMPORTHTML("URL", "table" または "list", インデックス番号)
で、ページ中の何番目の表/リストかを指定します。 - IMPORTXML関数:HTML/XMLページの特定要素をXPathという指定方法で抽出します。ウェブサイトから特定の文字列やメタ情報を取ってきたい場合に強力です。構文は
=IMPORTXML("URL", "XPathクエリ")
で、例えば//a/@href
と指定すればそのページ内の全リンクURLを一覧取得できます。 - IMPORTDATA関数:外部のCSVやTSVファイルを取り込みます。URLを指定するだけで、そのCSVの内容をシートに展開できるので、定期更新されるデータ源(例えば定期エクスポートされるログファイルなど)の読み込みに適しています。構文は
=IMPORTDATA("ファイルのURL")
とシンプルです。 - IMPORTFEED関数:RSSフィードなどから記事一覧を取り込む関数です。利用頻度は上記ほど高くありませんが、特定ブログの新着記事タイトルを一覧化する等に使えます。
以上のIMPORT関数を使い分ければ、さまざまな場所にあるデータを自分のシート1枚に集約できます。特にIMPORTRANGEは、社内で問い合わせログを別のスプレッドシートで管理している場合に便利です。自分用の分析シートから参照設定しておけば、ログの追加や更新があっても自動でデータが反映されます。 [17] また、CSVエクスポートに対応した問い合わせ管理システムをお使いなら、そのCSV公開URLをIMPORTDATAで読み込むことで、手動のコピペなしに最新ログを取り込めます。
VOC分析の基礎:問い合わせログから価値あるインサイトを得るには
本題に入る前に、少し背景知識としてVOC分析(顧客の声分析)の基本を押さえておきましょう。VOC(Voice of Customer)とはアンケート回答、コールセンターへの問い合わせ内容、SNS投稿の感想など、顧客から寄せられるあらゆるフィードバックを指します。 [13] VOC分析とはそれら顧客の声を収集・整理・分類・要約・抽出・分析・解釈・可視化・報告する一連のプロセスのことです。目的は顧客の本当のニーズや問題点を把握し、商品・サービスの改善につなげることにあります。 [13]
問い合わせログは典型的なVOCデータであり、ここから得られる洞察には例えば次のようなものがあります:
- 顧客ニーズの把握:頻出する質問や要望から、製品・サービスに求められている改善点が見えてくる
- CX(顧客体験)の改善:問い合わせの不満点を分析することで、サポート体制やUI改善などCX向上施策を立案できる
- 問題の早期発見:問い合わせ急増のトピックから、不具合や障害の兆候をいち早く察知できる
- 競合差別化のヒント:顧客が感じている自社の強み・弱み(「○○が他社より使いづらい」等)を把握し戦略に活かせる
ただしVOC分析には課題もあります。テキストデータは非構造的で量も多く、「人手で分類・集計すると時間がかかる」「内容の解釈が担当者に依存しばらつく」といった問題が起こりがちです。実際、膨大な問い合わせログを全て読んで要点をまとめるのは非効率で、忙しい現場では対応しきれないでしょう。
そこで近年注目されている解決策が生成AI(Generative AI)の活用です。 [7, 13, 18] ChatGPTに代表される生成AIは自然言語の理解と生成が得意で、VOCの要約・分類・タグ付けを劇的に効率化してくれます。 [16] AIが文章の意味や感情を解析してくれるため、単なるキーワードマッチでは拾えなかった文脈も加味した分析が可能です。 [18] さらにプロンプト(指示文)を工夫すれば処理を標準化できるため、誰がやっても同じ基準で分析結果を得られ、属人的なばらつきが減ります。
要するに、「AI × スプレッドシート」によってVOC分析は民主化されつつあります。専門的なテキストマイニングの知識がなくても、適切な関数とプロンプトを使えば、初心者でも顧客の声からインサイトを引き出すことが可能です。 [19] ではいよいよ、Googleスプレッドシート上で問い合わせログを自動要約・分類・タグ付けする方法を見ていきましょう。
“1枚運用”テンプレートで実現! スプレッドシートで自動要約・分類・タグ付け
ここからは実践編です。1枚のスプレッドシート上で、問い合わせログの要約・分類・タグ付けを行う手順とテンプレート例を紹介します。事前に用意するものは、問い合わせログのデータ(シート内または外部からIMPORTで取得)と、GoogleのAI関数が使える環境です。以下のステップに沿って進めてみましょう。
1. データの準備と取り込み
まずは分析対象となる問い合わせログをシートに用意します。既に同じスプレッドシート内にデータがあるならそのシートを参照すればOKです。他システムからエクスポートしたCSV等がある場合は、新規シートを作りそこに貼り付けても良いでしょう。
可能であれば、前章で説明したIMPORT関数を使ってデータを自動取得する仕組みにしておくと便利です。例えば、問い合わせ履歴が社内の別Googleスプレッドシートで管理されているなら、分析用シートのA列に以下のようなIMPORTRANGE関数を入力します:
=IMPORTRANGE("https://docs.google.com/spreadsheets/d/〇〇...(ログ管理シートのURL)", "問い合わせログ!A1:D1000")
これで元シートのログ範囲(例ではA1:D1000)をリアルタイムに参照できます。 [17] CSVファイルで提供されるなら、ファイルをウェブ上に置いてURLを指定し、IMPORTDATA関数で取り込むのも手です。このようにして問い合わせ内容の一覧データをA列などに用意してください。以降の手順では、A列の各セルに問い合わせの文章(顧客からの質問・要望・クレームなど)が入っている前提で説明します。
2. 自動要約の追加(Summary列)
次に、問い合わせ内容をAIでサマリー(要約)する列を追加します。A列に対してB列に要約結果を出すイメージです。B1セル(見出しセル)に「要約」などと入れ、B2セル以降にAI関数の式を設定しましょう。
要約用AI関数の例:
=AI("Summarize the following customer inquiry in one sentence in Japanese:", A2)
上記の例では、A2セルの問い合わせ文を対象に「以下の問い合わせ内容を1文で要約してください(日本語で)」とAIに指示しています。プロンプトは英語ですが、最後に「in Japanese」と入れることで日本語での要約結果を得る狙いです。この関数をB2に入力し、「生成して挿入」をクリックすると、数秒後にはA2の長い文章が1文の日本語に要約されて表示されます。あとはB2の式をB列下方にコピーすれば、全ての問い合わせについて自動要約が完成します。
要約の例として、たとえばA2に「ログインできずエラーコード500が表示される」という問い合わせがあった場合、AI要約は「ユーザーがアカウントにログインできず、エラー500が発生している状況」といった一文になるでしょう。このように文章を読むだけで数分かかる内容も、AIなら一瞬で本質を抽出してくれます。要約結果を見ることで、問い合わせの概要がひと目で把握でき、対応の優先度判断や関連部署への共有がスムーズになります。
3. 自動分類の追加(カテゴリ列)
続いて、問い合わせ内容をカテゴリー分類する列を追加します。これは「問い合わせの種類をラベル分けする」作業に相当します。例えば「技術的な問題」「請求に関する質問」「一般的な問い合わせ」など、自社に合わせたカテゴリをあらかじめ決めておき、それに当てはめる形で分類します。
C1セルに「カテゴリ」等と見出しを付け、C2セルから下にAI関数を設定しましょう。
分類用AI関数の例:
=AI("Classify this inquiry as 'Technical Issue', 'Billing', or 'General'", A2)
この例ではA2の内容に対し、「Technical Issue(技術的問題)」「Billing(請求関連)」「General(一般)」の3つから適切なカテゴリを選ぶようAIに指示しています。プロンプト内で候補カテゴリをシングルクオートで列挙することで、AIがその中から最もふさわしいものを一つ返すというわけです。実際にC2にこの式を生成すると、問い合わせ内容を読み取ったAIが例えば「Technical Issue」と判定してくれるでしょう。以降の行にもコピーすれば一覧の分類結果が得られます。
上図はAI関数によって問い合わせメールを優先度別に自動分類した例です。列Aに問い合わせ内容(日本語)が入り、列Bで「Urgent(緊急)」または「Normal(通常)」という優先度ラベルに分類されています。AIが各メールの内容を判断し、対応の緊急度を即座に割り振っています。このように大量の問い合わせも自動でカテゴリー分けすることで、担当者は対応の優先順位付けを素早く行えるようになります。
今回の例では3区分でしたが、カテゴリは業種・業務に応じて適宜設定してください。商品の種類ごとに分類したり、「不具合報告」「使い方質問」「クレーム」「要望」といった内容種別に分けたりといった応用も考えられます。AI分類の精度は比較的高いですが、境界が曖昧なケースでは誤判定もありうるため、重要な分析では人手での確認も併用しましょう。
4. 自動タグ付けの追加(キーワード列)
最後に、タグ付け(キーワード抽出)の列を追加します。タグ付けとは、各問い合わせ内容から特徴的なキーワードをいくつか抜き出して付与する作業です。これにより「どんな話題が頻出しているか」「似たトピックの問い合わせ同士を紐付ける」といった分析がやりやすくなります。
D1セルに「タグ」などと付け、D2セル以降にAI関数を設定します。
タグ抽出用AI関数の例:
=AI("Extract 2-3 key keywords from this inquiry (in Japanese) as comma-separated words.", A2)
このプロンプトではA2の問い合わせ文から重要キーワードを2~3語抽出し、カンマ区切りで出力するよう指示しています。生成結果の例として、先ほどの「ログインできない(エラー500)」という問い合わせなら「ログインエラー, エラー500」のようなタグが返ってくるイメージです。複数の問い合わせで同じタグが付いていれば、それらは共通の話題に関する問い合わせだと分かります。あとはフィルタ機能でタグを絞り込んで関連ログを一覧したり、ピボットテーブルでタグ別の件数を集計することで、問い合わせ内容の傾向可視化にも役立つでしょう。
5. テンプレートの完成と活用
以上の手順で、A列:問い合わせ原文、B列:要約、C列:カテゴリ分類、D列:タグという構成のシートが完成します。これが“1枚運用”テンプレートの基本形です。要約で内容を素早く把握し、カテゴリでグルーピング、タグで横断的なキーワード分析ができるようになります。あとはこのシートをもとに、色付けやフィルタリングで緊急度の高いものを強調表示したり、ピボットグラフでカテゴリ別の件数推移を可視化したりと、応用も自由自在です。
特にVOC分析では、全件の声に目を通すこと(網羅性)と重要ポイントを見極めること(要点抽出)の両立が大切ですが、今回のテンプレートを使えば膨大なログでも効率的に両者を実現できます。実例として、Google提供のGeminiデモでは「自由記述のアンケート回答を『性別』『年齢層』『主な改善点』の3項目に分類して表形式で出力する」といった高度な使い方も紹介されています。スプレッドシートAI関数はこのように非構造データを構造化データに変換する力を持っており、問い合わせログ分析との相性は抜群です。
おすすめの活用法とTipsまとめ
最後に、初心者の方がこのテンプレートを使いこなすためのポイントや活用アイデアをまとめます。
- プロンプト(指示文)の工夫: AI関数の出力品質はプロンプト次第です。要約では「何を重視してまとめるか」(例:「不満点と要望を含めて3文で要約して」)を明示し、分類では選択肢を具体的に列挙する、タグ抽出では出力形式(箇条書きやカンマ区切りなど)まで指定するなど、具体的に書くほど狙い通りの結果が得やすくなります。
- 日本語テキストの扱い: 現状プロンプトは英語推奨ですが、日本語の文章も問題なく入力できます。日本語で回答が欲しい場合はプロンプトに「in Japanese」を加えるのを忘れずに。それでもうまく日本語にならない時は、出力例をプロンプト内に示す(ショットプロンプトと呼ばれる手法)などで調整してみてください。
- 処理データ量と限界: AI関数は便利な反面、大量データへの一括適用には時間がかかることがあります。例えば数百行以上を一度に生成しようとすると処理待ちが発生しやすく、場合によってはタイムアウトする可能性もあります。まずは数十件規模で試し、問題なければ徐々に範囲を広げるようにしましょう。また数千件以上分析するような場合は、シートではなくAPI連携や社内AIツールの活用も検討した方が良いかもしれません。
- 結果の見直しと修正: AIとはいえ完全ではありません。不適切な分類や要約ミスもゼロではないため、結果の妥当性チェックは最低限行いましょう。特に重要な分析報告に用いる場合、AI結果を鵜呑みにせず、必要に応じて人手で修正・補足することが信頼性確保につながります。
- 機密情報への配慮: 問い合わせログには個人情報や社外秘の情報が含まれるケースもあります。社外の生成AIサービスにデータを送る場合は匿名化するなど注意が必要ですが、GoogleスプレッドシートのAI関数はGoogle Workspace内の機能のため比較的安心して利用できます(社内ポリシーに従ってご判断ください)。 [14]
以上のポイントを踏まえてテンプレートを活用すれば、日々のVOC分析が飛躍的に効率化されるでしょう。大量の顧客の声からパターンを抽出したり、新たな課題を発見したりする作業が、これまでより格段にスピーディーかつ網羅的に行えるはずです。
おわりに:スプレッドシートAI活用で顧客の声をビジネスに活かそう
本記事では「【2025年最新版】Google スプレッドシートAI関数入門:自動要約・分類・タグ付けテンプレ」と題し、最新のAI関数とIMPORT関数を駆使したVOC分析の方法を詳しく解説しました。初心者の方でも扱いやすいスプレッドシートという身近なツール上で、最先端の生成AIを活用できる時代です。定型業務はAIに任せ、人はより創造的な課題解決に集中できるようになります。
ぜひまずは小さなログからでも、このテンプレート手法を試してみてください。最初は驚くほど簡単に感じるかもしれませんが、それこそが生成AI活用のメリットです。使い慣れたツールに自然とAIが溶け込むことで、抵抗なく組織に浸透させるコツにもなります。そして蓄積された顧客の声を継続的に分析し、顧客視点でのPDCAを回すことで、製品・サービスの改善や顧客満足度向上に繋げていきましょう。 [13]
AI×スプレッドシートによるVOC分析の民主化は始まったばかりです。本記事のテンプレートを土台に、ぜひ自社なりのカスタマイズや応用にもチャレンジしてみてください。今後さらにAI関数が進化し日本語対応や自動更新などが充実すれば、より一層強力な“1枚運用”が可能になるでしょう。最新アップデート情報にもアンテナを張りつつ、顧客の声を価値あるインサイトに変える新しいワークフローを実現してみてください。あなたの業務効率化と顧客理解の深化に、本記事の内容がお役に立てば幸いです。
参考文献・出典
- 【1】 SheetAI. “AI with Brain Inside Google Sheets”.
- 【2】 Zenn. “Google シートへ Gemini のカスタム AI 関数を組み込む”. (2024-12-23)
- 【3】 rakumo. 「IMPORTRANGE関数とは?Googleスプレッドシートで外部データをインポートする方法」. (2019-10-18)
- 【4】 Kyutaro. 「GoogleスプレッドシートでAI関数が使える!〜テキスト生成や感情分析も簡単に!〜」. (2025-04-15)
- 【5】 The Keyword. “How to use Gemini AI in Google Sheets”. (2025-09-05)
- 【6】 Google Docs Editors Help. “Use the AI function in Google Sheets (Workspace Labs)”.
- 【7】 エモーションテック. 「生成AIでVoCデータを分析し顧客満足度と品質保証を強化する方法」. (2025-06-03)
- 【8】 mir – note. 「Googleスプレッドシート IMPORTRANGE関数 超応用例」. (2024-03-16)
- 【9】 「AI関数とは?GeminiをGoogleスプレッドシートで活用」. (2025-09-02)
- 【10】 吉積情報. 「スプレッドシートのAI関数とは?できること・使い方・注意点までやさしく解説」. (2025-08-05)
- 【11】 WEEL. 「【今日からできる!】スプレッドシートでGeminiを使う方法|活用例6選と注意点も解説」. (2025-07-02)
- 【12】 nepia_infinity – note. 「【Google Spreadsheet】IMPORT系関数まとめ」. (2020-07-17)
- 【13】 エモーションテック. 「生成AIによってVoCを分析する:顧客の声を次世代技術で読み解く方法」. (2025-02-25)
- 【14】 TSクラウド. 「スプレッドシート × Gemini の連携で生産性向上!AI 活用のヒント」. (2025-09-02)
- 【15】 YouTube. 「IMPORTRANGE関数の使い方【別ファイルのデータを参照する】Googleスプレッドシート初心者向け基礎編」. (2020-11-28)
- 【16】 TextVoice. 「分析事例:VOC分析(Voice of Customer)」. (2024-06-21)
- 【17】 rakumo. 「別スプレッドシートを参照&自動更新。IMPORTRANGE 関数とは」. (2023-08-04)
- 【18】 AI Market. 「AIを活用したVOC分析とは?顧客満足度向上と業務効率化の実例」.
- 【19】 リコーのAI. 「【商品の改善に繋がる】VOC分析とは?役立つツールや事例を交えて解説」.
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【2025年最新版】Google スプレッドシートAI関数入門:自動要約・分類・タグ付けテンプレ
日々の業務で蓄積される問い合わせログ(VOC:Voice of Customer)には、顧客のニーズや課題に関する貴重なヒントが詰まっています。しかし、大量のテキストデータを人手で要約・分類するのは膨大な時間がかかり、見落としや属人化も起こりがちです。そこで登場したのがGoogleスプレッドシートの「AI関数」とIMPORT関数です。2025年にはスプレッドシート上で直接AIを活用できるようになり、問い合わせログの自動要約・分類・タグ付けを“1枚のシート”上で完結させることが可能となりました。
本記事では、初心者の一般サラリーマンの方でも分かるように、Googleスプレッドシート最新AI関数とIMPORT関数を組み合わせて問い合わせログを分析する方法を解説します。専門用語もできるだけかみ砕き、実例テンプレートを交えて紹介します。これを読めば、面倒なVOC分析をスプレッドシート1枚で自動化するヒントが得られるでしょう。
GoogleスプレッドシートのAI関数とは(2025年最新情報)
まずは「AI関数」とは何かを押さえましょう。GoogleスプレッドシートのAI関数は、Googleの生成AIモデル「Gemini」をシートのセルから直接呼び出す新機能です。 例えばセルに =AI("プロンプト", 参照セル)
のように入力すると、指定したプロンプト(命令文)に従い、AIがテキストの生成や分析を行って結果を返してくれます。 Googleが2025年6月25日に正式発表した最新機能で、これにより従来は別サイトで行っていたAI処理をスプレッドシート上で直接実行できるようになりました。
AI関数で何ができるの? 主な活用例は以下の通りです:
- 文章の自動生成:指定したテーマで文章やSNS投稿文を作成
- テキストの要約:長い文章から要点を抽出し短くまとめる
- 情報の分類:大量の文章データをカテゴリー分けする
- 感情の分析:レビュー等からポジティブ・ネガティブ傾向を判定する
これらの作業をAI関数なら一瞬で完了できます。たとえば「会議の議事録を3つの箇条書きに要約して」と指示すれば、AIが重要ポイントを抽出してくれるのです。同様に「この問い合わせ内容を『技術的』『請求』『一般』のいずれかに分類して」とプロンプトを与えれば、適切なカテゴリを自動で判定します。人手では時間がかかった作業も、AI関数なら入力するだけで素早く標準化された結果が得られるため、分析の効率と再現性が大幅に向上します。
利用開始の手順と注意点
AI関数を使うには現時点(2025年)ではいくつか条件があります。 まずGoogle Workspace Labsへの参加や対応プランの確認が必要です。 個人利用の場合はWorkspace Labsに登録すれば無料アカウントでも試用可能ですが、企業アカウントでは管理者がAI機能を有効化していること、さらにBusiness Standard以上のプランであることが求められます。またGoogleアカウントの言語設定を英語に変更し、Labs参加後にシート上部のAI(Gemini)ボタンが表示されるようにする必要があります。これはAI関数がまだ多言語対応途上で、英語のプロンプトが最も安定動作するためです。2025年7月時点で日本語の直接サポートはなく、プロンプトは英語で書くことが推奨されています。
日本語の問い合わせ文を扱いたい場合でも、プロンプト自体は英語で記述しましょう。例えば日本語のテキストA2を要約するには、=AI("Summarize this text in Japanese.", A2)
のように書きます(「in Japanese」を付けると日本語での出力を指示できます)。現状AI関数は日本語プロンプト非対応ですが、日本語テキストの分析自体は可能であり、工夫すれば日本語での結果も得られます。
最後に、AI関数は手動で結果を生成・更新する点にも注意が必要です。 通常の関数のように自動再計算されず、対象セルを選んで「Generate and Insert(生成して挿入)」ボタンを押すことで初めて結果が表示されます。 元の参照データが変わっても自動では出力が更新されないため、変更時には「更新して挿入」を押して再生成する必要があります。リアルタイムにデータが変化するケースにはやや不向きですが、裏を返せば確定した静的な結果を保持できるとも言えます。これらのポイントを押さえつつ、次章から具体的な使い方を見ていきましょう。
IMPORT関数の基本:外部データの取り込み方
次に、AI分析の元となるデータをスプレッドシートに取り込む方法を確認します。Googleスプレッドシートには外部のデータソースを自動で読み込めるIMPORT系関数が用意されています。 これらを活用することで、日々更新される外部データをシートにリアルタイム反映し、分析の手間を削減できます。主要なIMPORT関数とその用途は以下のとおりです:
- IMPORTRANGE関数:別のGoogleスプレッドシートから指定範囲のデータを読み込みます。 Excelにはないスプレッドシート独自の関数で、元ファイルが更新されると自動的に追従して最新データを表示できます。 構文は
=IMPORTRANGE("スプレッドシートURL", "シート名!範囲")
です。 社内でフォーム回答が別シートに蓄積されている場合などに、そのデータを「生きたコピペ」のように取得できます。※使用には参照元シートへの閲覧権限が必要です。 - IMPORTHTML関数:ウェブページ上のテーブルやリストを取り込みます。例えば公開された統計や製品ランキングの表を指定すれば、その部分だけをシートに抽出可能です。構文は
=IMPORTHTML("URL", "table" または "list", インデックス番号)
で、ページ中の何番目の表/リストかを指定します。 - IMPORTXML関数:HTML/XMLページの特定要素をXPathという指定方法で抽出します。ウェブサイトから特定の文字列やメタ情報を取ってきたい場合に強力です。構文は
=IMPORTXML("URL", "XPathクエリ")
で、例えば//a/@href
と指定すればそのページ内の全リンクURLを一覧取得できます。 - IMPORTDATA関数:外部のCSVやTSVファイルを取り込みます。URLを指定するだけで、そのCSVの内容をシートに展開できるので、定期更新されるデータ源(例えば定期エクスポートされるログファイルなど)の読み込みに適しています。構文は
=IMPORTDATA("ファイルのURL")
とシンプルです。 - IMPORTFEED関数:RSSフィードなどから記事一覧を取り込む関数です。利用頻度は上記ほど高くありませんが、特定ブログの新着記事タイトルを一覧化する等に使えます。
以上のIMPORT関数を使い分ければ、さまざまな場所にあるデータを自分のシート1枚に集約できます。特にIMPORTRANGEは、社内で問い合わせログを別のスプレッドシートで管理している場合に便利です。自分用の分析シートから参照設定しておけば、ログの追加や更新があっても自動でデータが反映されます。 また、CSVエクスポートに対応した問い合わせ管理システムをお使いなら、そのCSV公開URLをIMPORTDATAで読み込むことで、手動のコピペなしに最新ログを取り込めます。
VOC分析の基礎:問い合わせログから価値あるインサイトを得るには
本題に入る前に、少し背景知識としてVOC分析(顧客の声分析)の基本を押さえておきましょう。VOC(Voice of Customer)とはアンケート回答、コールセンターへの問い合わせ内容、SNS投稿の感想など、顧客から寄せられるあらゆるフィードバックを指します。 VOC分析とはそれら顧客の声を収集・整理・分類・要約・抽出・分析・解釈・可視化・報告する一連のプロセスのことです。目的は顧客の本当のニーズや問題点を把握し、商品・サービスの改善につなげることにあります。
問い合わせログは典型的なVOCデータであり、ここから得られる洞察には例えば次のようなものがあります:
- 顧客ニーズの把握:頻出する質問や要望から、製品・サービスに求められている改善点が見えてくる
- CX(顧客体験)の改善:問い合わせの不満点を分析することで、サポート体制やUI改善などCX向上施策を立案できる
- 問題の早期発見:問い合わせ急増のトピックから、不具合や障害の兆候をいち早く察知できる
- 競合差別化のヒント:顧客が感じている自社の強み・弱み(「○○が他社より使いづらい」等)を把握し戦略に活かせる
ただしVOC分析には課題もあります。テキストデータは非構造的で量も多く、「人手で分類・集計すると時間がかかる」「内容の解釈が担当者に依存しばらつく」といった問題が起こりがちです。実際、膨大な問い合わせログを全て読んで要点をまとめるのは非効率で、忙しい現場では対応しきれないでしょう。
そこで近年注目されている解決策が生成AI(Generative AI)の活用です。 ChatGPTに代表される生成AIは自然言語の理解と生成が得意で、VOCの要約・分類・タグ付けを劇的に効率化してくれます。 AIが文章の意味や感情を解析してくれるため、単なるキーワードマッチでは拾えなかった文脈も加味した分析が可能です。 さらにプロンプト(指示文)を工夫すれば処理を標準化できるため、誰がやっても同じ基準で分析結果を得られ、属人的なばらつきが減ります。
要するに、「AI × スプレッドシート」によってVOC分析は民主化されつつあります。専門的なテキストマイニングの知識がなくても、適切な関数とプロンプトを使えば、初心者でも顧客の声からインサイトを引き出すことが可能です。 ではいよいよ、Googleスプレッドシート上で問い合わせログを自動要約・分類・タグ付けする方法を見ていきましょう。
“1枚運用”テンプレートで実現! スプレッドシートで自動要約・分類・タグ付け
ここからは実践編です。1枚のスプレッドシート上で、問い合わせログの要約・分類・タグ付けを行う手順とテンプレート例を紹介します。事前に用意するものは、問い合わせログのデータ(シート内または外部からIMPORTで取得)と、GoogleのAI関数が使える環境です。以下のステップに沿って進めてみましょう。
1. データの準備と取り込み
まずは分析対象となる問い合わせログをシートに用意します。既に同じスプレッドシート内にデータがあるならそのシートを参照すればOKです。他システムからエクスポートしたCSV等がある場合は、新規シートを作りそこに貼り付けても良いでしょう。
可能であれば、前章で説明したIMPORT関数を使ってデータを自動取得する仕組みにしておくと便利です。例えば、問い合わせ履歴が社内の別Googleスプレッドシートで管理されているなら、分析用シートのA列に以下のようなIMPORTRANGE関数を入力します:
=IMPORTRANGE("https://docs.google.com/spreadsheets/d/〇〇...(ログ管理シートのURL)", "問い合わせログ!A1:D1000")
これで元シートのログ範囲(例ではA1:D1000)をリアルタイムに参照できます。 CSVファイルで提供されるなら、ファイルをウェブ上に置いてURLを指定し、IMPORTDATA関数で取り込むのも手です。このようにして問い合わせ内容の一覧データをA列などに用意してください。以降の手順では、A列の各セルに問い合わせの文章(顧客からの質問・要望・クレームなど)が入っている前提で説明します。
2. 自動要約の追加(Summary列)
次に、問い合わせ内容をAIでサマリー(要約)する列を追加します。A列に対してB列に要約結果を出すイメージです。B1セル(見出しセル)に「要約」などと入れ、B2セル以降にAI関数の式を設定しましょう。
要約用AI関数の例:
=AI("Summarize the following customer inquiry in one sentence in Japanese:", A2)
上記の例では、A2セルの問い合わせ文を対象に「以下の問い合わせ内容を1文で要約してください(日本語で)」とAIに指示しています。プロンプトは英語ですが、最後に「in Japanese」と入れることで日本語での要約結果を得る狙いです。この関数をB2に入力し、「生成して挿入」をクリックすると、数秒後にはA2の長い文章が1文の日本語に要約されて表示されます。あとはB2の式をB列下方にコピーすれば、全ての問い合わせについて自動要約が完成します。
要約の例として、たとえばA2に「ログインできずエラーコード500が表示される」という問い合わせがあった場合、AI要約は「ユーザーがアカウントにログインできず、エラー500が発生している状況」といった一文になるでしょう。このように文章を読むだけで数分かかる内容も、AIなら一瞬で本質を抽出してくれます。要約結果を見ることで、問い合わせの概要がひと目で把握でき、対応の優先度判断や関連部署への共有がスムーズになります。
3. 自動分類の追加(カテゴリ列)
続いて、問い合わせ内容をカテゴリー分類する列を追加します。これは「問い合わせの種類をラベル分けする」作業に相当します。例えば「技術的な問題」「請求に関する質問」「一般的な問い合わせ」など、自社に合わせたカテゴリをあらかじめ決めておき、それに当てはめる形で分類します。
C1セルに「カテゴリ」等と見出しを付け、C2セルから下にAI関数を設定しましょう。
分類用AI関数の例:
=AI("Classify this inquiry as 'Technical Issue', 'Billing', or 'General'", A2)
この例ではA2の内容に対し、「Technical Issue(技術的問題)」「Billing(請求関連)」「General(一般)」の3つから適切なカテゴリを選ぶようAIに指示しています。プロンプト内で候補カテゴリをシングルクオートで列挙することで、AIがその中から最もふさわしいものを一つ返すというわけです。実際にC2にこの式を生成すると、問い合わせ内容を読み取ったAIが例えば「Technical Issue」と判定してくれるでしょう。以降の行にもコピーすれば一覧の分類結果が得られます。
上図はAI関数によって問い合わせメールを優先度別に自動分類した例です。列Aに問い合わせ内容(日本語)が入り、列Bで「Urgent(緊急)」または「Normal(通常)」という優先度ラベルに分類されています。AIが各メールの内容を判断し、対応の緊急度を即座に割り振っています。このように大量の問い合わせも自動でカテゴリー分けすることで、担当者は対応の優先順位付けを素早く行えるようになります。
今回の例では3区分でしたが、カテゴリは業種・業務に応じて適宜設定してください。商品の種類ごとに分類したり、「不具合報告」「使い方質問」「クレーム」「要望」といった内容種別に分けたりといった応用も考えられます。AI分類の精度は比較的高いですが、境界が曖昧なケースでは誤判定もありうるため、重要な分析では人手での確認も併用しましょう。
4. 自動タグ付けの追加(キーワード列)
最後に、タグ付け(キーワード抽出)の列を追加します。タグ付けとは、各問い合わせ内容から特徴的なキーワードをいくつか抜き出して付与する作業です。これにより「どんな話題が頻出しているか」「似たトピックの問い合わせ同士を紐付ける」といった分析がやりやすくなります。
D1セルに「タグ」などと付け、D2セル以降にAI関数を設定します。
タグ抽出用AI関数の例:
=AI("Extract 2-3 key keywords from this inquiry (in Japanese) as comma-separated words.", A2)
このプロンプトではA2の問い合わせ文から重要キーワードを2~3語抽出し、カンマ区切りで出力するよう指示しています。生成結果の例として、先ほどの「ログインできない(エラー500)」という問い合わせなら「ログインエラー, エラー500」のようなタグが返ってくるイメージです。複数の問い合わせで同じタグが付いていれば、それらは共通の話題に関する問い合わせだと分かります。あとはフィルタ機能でタグを絞り込んで関連ログを一覧したり、ピボットテーブルでタグ別の件数を集計することで、問い合わせ内容の傾向可視化にも役立つでしょう。
5. テンプレートの完成と活用
以上の手順で、A列:問い合わせ原文、B列:要約、C列:カテゴリ分類、D列:タグという構成のシートが完成します。これが“1枚運用”テンプレートの基本形です。要約で内容を素早く把握し、カテゴリでグルーピング、タグで横断的なキーワード分析ができるようになります。あとはこのシートをもとに、色付けやフィルタリングで緊急度の高いものを強調表示したり、ピボットグラフでカテゴリ別の件数推移を可視化したりと、応用も自由自在です。
特にVOC分析では、全件の声に目を通すこと(網羅性)と重要ポイントを見極めること(要点抽出)の両立が大切ですが、今回のテンプレートを使えば膨大なログでも効率的に両者を実現できます。実例として、Google提供のGeminiデモでは「自由記述のアンケート回答を『性別』『年齢層』『主な改善点』の3項目に分類して表形式で出力する」といった高度な使い方も紹介されています。スプレッドシートAI関数はこのように非構造データを構造化データに変換する力を持っており、問い合わせログ分析との相性は抜群です。
おすすめの活用法とTipsまとめ
最後に、初心者の方がこのテンプレートを使いこなすためのポイントや活用アイデアをまとめます。
- プロンプト(指示文)の工夫: AI関数の出力品質はプロンプト次第です。要約では「何を重視してまとめるか」(例:「不満点と要望を含めて3文で要約して」)を明示し、分類では選択肢を具体的に列挙する、タグ抽出では出力形式(箇条書きやカンマ区切りなど)まで指定するなど、具体的に書くほど狙い通りの結果が得やすくなります。
- 日本語テキストの扱い: 現状プロンプトは英語推奨ですが、日本語の文章も問題なく入力できます。日本語で回答が欲しい場合はプロンプトに「in Japanese」を加えるのを忘れずに。それでもうまく日本語にならない時は、出力例をプロンプト内に示す(ショットプロンプトと呼ばれる手法)などで調整してみてください。
- 処理データ量と限界: AI関数は便利な反面、大量データへの一括適用には時間がかかることがあります。例えば数百行以上を一度に生成しようとすると処理待ちが発生しやすく、場合によってはタイムアウトする可能性もあります。まずは数十件規模で試し、問題なければ徐々に範囲を広げるようにしましょう。また数千件以上分析するような場合は、シートではなくAPI連携や社内AIツールの活用も検討した方が良いかもしれません。
- 結果の見直しと修正: AIとはいえ完全ではありません。不適切な分類や要約ミスもゼロではないため、結果の妥当性チェックは最低限行いましょう。特に重要な分析報告に用いる場合、AI結果を鵜呑みにせず、必要に応じて人手で修正・補足することが信頼性確保につながります。
- 機密情報への配慮: 問い合わせログには個人情報や社外秘の情報が含まれるケースもあります。社外の生成AIサービスにデータを送る場合は匿名化するなど注意が必要ですが、GoogleスプレッドシートのAI関数はGoogle Workspace内の機能のため比較的安心して利用できます(社内ポリシーに従ってご判断ください)。
以上のポイントを踏まえてテンプレートを活用すれば、日々のVOC分析が飛躍的に効率化されるでしょう。大量の顧客の声からパターンを抽出したり、新たな課題を発見したりする作業が、これまでより格段にスピーディーかつ網羅的に行えるはずです。
おわりに:スプレッドシートAI活用で顧客の声をビジネスに活かそう
本記事では「【2025年最新版】Google スプレッドシートAI関数入門:自動要約・分類・タグ付けテンプレ」と題し、最新のAI関数とIMPORT関数を駆使したVOC分析の方法を詳しく解説しました。初心者の方でも扱いやすいスプレッドシートという身近なツール上で、最先端の生成AIを活用できる時代です。定型業務はAIに任せ、人はより創造的な課題解決に集中できるようになります。
ぜひまずは小さなログからでも、このテンプレート手法を試してみてください。最初は驚くほど簡単に感じるかもしれませんが、それこそが生成AI活用のメリットです。使い慣れたツールに自然とAIが溶け込むことで、抵抗なく組織に浸透させるコツにもなります。そして蓄積された顧客の声を継続的に分析し、顧客視点でのPDCAを回すことで、製品・サービスの改善や顧客満足度向上に繋げていきましょう。
AI×スプレッドシートによるVOC分析の民主化は始まったばかりです。本記事のテンプレートを土台に、ぜひ自社なりのカスタマイズや応用にもチャレンジしてみてください。今後さらにAI関数が進化し日本語対応や自動更新などが充実すれば、より一層強力な“1枚運用”が可能になるでしょう。最新アップデート情報にもアンテナを張りつつ、顧客の声を価値あるインサイトに変える新しいワークフローを実現してみてください。あなたの業務効率化と顧客理解の深化に、本記事の内容がお役に立てば幸いです。
参考文献・出典
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- 【10】 吉積情報. 「スプレッドシートのAI関数とは?できること・使い方・注意点までやさしく解説」. (2025-08-05)
- 【11】 WEEL. 「【今日からできる!】スプレッドシートでGeminiを使う方法|活用例6選と注意点も解説」. (2025-07-02)
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- 【13】 エモーションテック. 「生成AIによってVoCを分析する:顧客の声を次世代技術で読み解く方法」. (2025-02-25)
- 【14】 TSクラウド. 「スプレッドシート × Gemini の連携で生産性向上!AI 活用のヒント」. (2025-09-02)
- 【15】 YouTube. 「IMPORTRANGE関数の使い方【別ファイルのデータを参照する】Googleスプレッドシート初心者向け基礎編」. (2020-11-28)
- 【16】 TextVoice. 「分析事例:VOC分析(Voice of Customer)」. (2024-06-21)
- 【17】 rakumo. 「別スプレッドシートを参照&自動更新。IMPORTRANGE 関数とは」. (2023-08-04)
- 【18】 AI Market. 「AIを活用したVOC分析とは?顧客満足度向上と業務効率化の実例」.
- 【19】 リコーのAI. 「【商品の改善に繋がる】VOC分析とは?役立つツールや事例を交えて解説」.